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特集 脳研究の進歩—東京大学脳研究所創立30周年記念
臨床脳波学の進歩—相関分析,誘発電位,直流電位
Recent Advances in Clinical Neurophysiolgy.
佐野 圭司
1
Keiji Sano
1
1東大医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.419-436
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904519
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I.はじめに
臨床脳波学の進歩について話せという竹友会長の御命令であるが,「脳波」ということばを「脳の電気活動」という広い意味にとつて,脳の電気活動検索の臨床応用面における進歩について概略をのべさせて頂いて責をふさぎたいと思う。
脳の電気活動はふつうには電位を縦軸に,時間を横軸にして描記される。すなわち脳の電位は時間の関数としてあらわされる。これをψ(t)とすると,これには少なくも3種類を区別できる。すなわちψ(t)=E(t)+ε(t)+e(t)とあらわすことができる(図1)。ここにE(t)はmVのオーダーであり,脳の正常な解剖学的構築が保たれているかぎり,ほとんど変化しない(ただしテンカン発作などの異常な大電気変動の時には変わることもある)安定な電位でわれわれがstationary potential14)15)と呼んでいるものである。またε(t)は,通常0.5c/s以下の緩徐な電気変動でμVのオーダー(50μV〜数mV)であり,われわれがslowly changing Potential14)15)と呼ぶものである。stationary potentialもslowly changing potentialもその描記に直流増幅器を必要とするので従来から直流電位(D. C. potential)と呼ばれたり,あるいは変化がゆるやかであるのでsteady potentialという名称を与えられたりしていたものである。
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