特集 第7回神経病理学会
一般演題〔1〕〜〔102〕抄録・討論
〔47〕〜〔53〕脱髄疾患
〔47〕Leucodystrophy With Diffuse Rosenthal Fiber Formationの1剖検例,他
白木 博次
1
,
入 久巳
2
,
松山 春郎
3
1東大脳研
2慶大病理
3脳性麻痺研究所
pp.788-793
発行日 1966年12月25日
Published Date 1966/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904378
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本疾患ははなはだ稀で世界の剖検例は10例以下,本邦初例である。家族性で乳幼時に発生するといわれ,脳は非常に大きく重い(megalobarencePhaly)。顕微鏡的には髄膜下および血管周囲にエオジン強染の細長い構造物の集積を認める。これはAlexanderによりFibrinoid,CromeによりHyaline,さらにHallervordenによりRosenthal fiberと呼ばれたもので,膠細胞の代謝障害による産物であるとされている。われわれは生後より脳症状を呈した乳幼児に本疾患剖検例を経験したので報告する。
症例は1年3ヵ月の男児,母親は妊娠7ヵ月で妊娠中毒性に罹患したほか特記すべき既往はない。分娩は正常で生下時体重は3,100gであつた。生後間もなく吐乳を認め,生後8ヵ月ころより顔面,左上肢および左下肢におよぶ間代性痙攣発作,意識消失があり,同様の発作をその後しばしば繰り返した。生後11ヵ月で某病院に入院し,脳室造影法施行後ventriculoauriculostomyを行なつたが,術後も意識障害が続き上記症状は消退せず術後4ヵ月で慶大脳外科に入院した。
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