Japanese
English
一般演題
3 神経組織内のポリアミンの分布
Polyamines in the Nerve Tissue
清水 宏俊
1
,
柿本 泰男
1
,
佐野 勇
1
Hirotoshi Shimizu
1
,
Yasuo Kakimoto
1
,
Isamu Sano
1
1大阪大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Osaka University Medical School
pp.576-579
発行日 1964年7月25日
Published Date 1964/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904115
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近年多数の芳香族アミンの神経組織内での存在が証明され,その機能についての研究が行なわれているが,神経系には機能的意義が全く未知のアミンも多数存在している。スペルミン(以下SP)およびスペルミジン(以下SD)は,広く生体内に存在するポリアミンであり,脳内にもかなり高濃度に存在することが,Dudley1)およびKewitz2)によつて認められている。塩基性アミノ酸であるリジンの遊離型の脳内含量は20μg/g前後でありノルアドレナリンやセロトニンの脳内含量は0.3μg/g程度であるが,SP,SDは共に50〜100μg/gの脳内含量を有している。このような高濃度で存在するにもかかわらず,これらポリアミンは単に存在が知られているのみで,神経組織内での分布や,代謝に関しては何も知られておらず,また生体内での機能との関連についても,ほとんど知見がない。このようにポリアミンは,その定量法の困難さなどもあつて,今日まであまり生化学的研究がなされなかつた物質である。
われわれは,イオン交換クロマトグラフィーを用いてSPおよびSDの定量法を考案し,この方法を用いてこれらポリアミンの神経系内での分布などを調べた結果,その機能的意義を示唆する結果を得た。
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