Japanese
English
原著
水俣病におけるポルフィリン代謝に関する研究
Studies on Porphyrine Metabolism in Minamata Disease
武田 省吾
1
Shōgo Takeda
1
1熊本大学第1内科学教室
1First Dept. of Internal Medicine, Kumamoto University, Medical School
pp.391-400
発行日 1963年3月25日
Published Date 1963/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904022
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緒言
昭和28年12月頃より熊本県水俣市を中心として発生した中枢神経系疾患,即ち水俣病は現在までに発生した患者87名,死亡したもの34名であり,その疫学,臨床症状,病理並びに原因物質等については徳臣等1)2)3)4)5)6)により報告されている。本病は極めて特異な病像を呈し,主として神経系の症状のみを現わし,臨床,病理,生化学的検索より,今日或種の有機水銀中毒であることが判明した。
慢性重金属中毒の中で鉛,マンガン等に関する報告は本邦に於いて数多くみられ,殊に鉛中毒の場合,特有な臨床症状及び著しい貧血,尿中コプロポルフィリン(以下U.C.P.と略)の増加が認められている。私は水俣病患者及びその家族,更に本病多発地区住民に於けるポルフィリン(以下P.と略)代謝障害の有無をみるべく,U.C.P.の消長について観察したので茲に報告する。
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