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特集 第4回神経化学懇話会
脳の特異物質
生体内特に脳内のPhenolic Amines
Phenoilc Amines in Mammalian Organs, Especially in the Brain
柿本 泰男
1
Yasuo Kakimoto
1
1大阪大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka Univ. Medical School
pp.501-504
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903975
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脳内での微量作用物質とされているnorepinephrine,serotonin,acetylcholineなどは,従来から知られた末梢神経系のシナップスあるいは神経筋接合における機能から類推して,脳でもneurotransmitterとして働くと考えられている。これらの物質を脳内のneurotransmitterとする考えは未だ仮説の域を出ないが,脳である種の重要な役割を演じているということは最近までに得られた実験事実から推して誤りではなかろう。この分野の研究は最近数年間において,にわかに活発となり,脳化学研究の一主流をなすに至った。
一方これら物質の発見の歴史をふりかえつてみると,これらが末梢神経の刺激あるいは血液凝固の際に遊出され,循環系の作用に変化をおよぼすことにその発見の端緒が得られた。ついで末梢臓器あるいは末梢神経における機能的役割が明かとなり,後に以上の物質が脳内に存在することが知られた。その存在の確認も主として筋収縮というbioassayの方法によつている。したがつて,従来末梢臓器に存在がみとめられた物質が脳内に存在するか否かしらべられ,また末梢臓器特に筋組織に対して活性を有する物質のみが脳の微量作用物質として研究対象になつてきたといえる。
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