Japanese
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特集 小児神経病学
乳幼児の脳腫瘍
Brain Tumors in Infancy
佐野 圭司
1
,
寺尾 栄夫
1
,
長島 親男
1
,
桑原 武夫
1
Keiji Sono
1
,
Hideo Terao
1
,
Chikao Nagashima
1
,
Takeo Iiuwabarn
1
1東京大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, School of Medicine University of Tokyo
pp.365-378
発行日 1962年7月25日
Published Date 1962/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903968
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I.緒言
乳幼児の脳腫瘍はその発生部位や腫瘍の性質に独自の性格を有することのほかに,頭蓋が伸展性をもつていること,神経機能の発達が完成されていないことなどの理由により成人脳腫瘍とは趣きを異にしており,特別の注目を払う必要がある。それにもかかわらず,個々の症例報告は別としてこの年齢層の脳腫瘍の臨床的あるいは病理学的性質を総括的に扱つた論文はきわめて少なく,Wollstein1),Critchley2) Gross3)などの数指を屈するに過ぎない。このことは一つにはこの年齢層の脳腫瘍が極めて少なく,一著者の症例のみでは一般論的にその特徴を論ずるほどの数に達しないということに由来している。
われわれの教室の脳腫瘍症例は1962年度には約1,800例に達しているが,その多数の資料4)にもかかわらず乳幼児脳腫瘍の症例数は,決して多いわけではなく,これのみでは真実の姿をうき彫りするのは困難であるから,本論文では教室症例を報告するとともに内外の文献を参照しつつこの問題を俯瞰してみよう。
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