技術講座 生理
乳幼児の脳波検査
原 倫子
1
,
福山 幸夫
1
1東京女子医科大学小児科
pp.438-442
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202762
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脳波は数多くの脳神経細胞の集合電位を,頭皮上に置かれた2個の電極間の電位変化としてとらえたものである.その電位変化は10〜100μVと,心電図や筋電図がmV単位の変化であるのに比べ極めて微弱な電気的変化であり,このように弱い電気活動を正確に記録するには適当な増幅器が必要である.50μV程度の脳波は約3cm離れた電極によって辛うじてつかまえられる.Gibbsらによると,脳波記録でとらえられる灰白質の量は,全脳灰白質の約1/3に過ぎないといわれる.しかし中枢神経は多数の回路が互いに影響し合い,脳波はその総合された活動であり,限界があることは承知しておかなければいけないが,有用な臨床検査であることはいうまでもない.
乳幼児期にはてんかんを始めとする中枢神経疾患が非常に多く,脳波検査の占める役割は大きい.実際に臨床応用される疾患を表1に示した.しかし覚醒安静閉眼が基準となる脳波検査では,非協力的な乳幼児の記録は難しく,我々は常々如何に良い記録をとるか悩まされているものである.脳波は前述の様に微細な電気活動を拾い出し記録するので,わずかな体動でも障害になる.そのうえ乳幼児の脳波は成人脳波と異なる種々の特異性があり判定も難しいとされている.以下,乳幼児の特異性を混じえながら,記録法の実際を記す.
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