Japanese
English
原著
小児期に発現する片麻痺の研究
Studies on Hemiplegias in Infancy and Childhood
有泉 基水
1
Motomizu Ariizumi
1
1日本大学医学部小児科学教室
1Dept. of Pediatrics, Nihon University School of Medicine
pp.427-440
発行日 1961年5月25日
Published Date 1961/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903926
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I.緒言
小児期にみられる片麻痺は,その原因の発生時期から先天性,分娩障害性および後天性の三つに分類される。このうち後天性のものに関して,Ford & Schaffer18),Rolleston50),Nussbaum43),Mitschell37),Keller33),Gareiso24),Weyer,Gethi25)およびDuffy15)等の報告があり,種々な原因があげられている。一般に脳炎(続発生脳炎を含む),髄膜炎(主として結核性髄膜炎),脳外傷,脳腫瘍,脳膿瘍,脳血管障害並びに脳血管異常などによるとされているが,なお全く原因不明なものも少なくない。Ford19)はこれらの原因不明の片麻痺について,病理学的に脳動脈病変を重要視している。そしてこの病変が続発性脳炎の病理組織像と同一であること,並びにWiesel70)の急性伝染性疾患時に認められた諸処の動脈病変と類似していることなどより,臨床的には発見し得ないような感染病巣がその原因であろうとしている。しかしながら近年,健康な小児並びに青壮年者に突然内頸動脈血栓症を発来することが認められ,64)その動脈壁の変性が注目されて来ている。このような病変が如何なる機序によるか,現在なお不明であるが,この脳動脈病変が片麻痺発生の重要な一因であることにはちがいない。
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