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神経筋接合部はすでに100年以上前から,多くの生理学者の興味の中心であった。そしてこれら多くの研究を見てみると,いくつかの観点から研究が行なわれてきたと考えられる。1)まず第一に筋収縮を起させる機構自体を目的とする立場。2)次にもっと一般的に神経筋接合部を,中枢神経系をも含めて一般のシナプス―この場合は化学的シナプス―の一つの代表とみる立場。3)さらに神経筋接合部を物質分泌のモデルもしくは化学的刺激を受けいれる化学受容器の一種とみなして,これらの分子レベルでの解明を目的とする立場。これらのうち筋収縮の引き金としての機能もしくはシナプス一般の機能については,少なくとも現象論的にはすでに多くの事柄が明らかになっているので,現在は以上の立場のうち 3)が興味の中心となりつつある。
神経筋接合部で伝達が起る場合には次の過程が考えられる。1)神経末端に活動電位が達するとそこからアセチルコリンがシナプス間隙に遊離され,2)アセチルコリンは拡散によって筋に達してその表面の受容蛋白と結合して終板電位(end-plate potential,e. p. p.)を発生する。3)終板電位の高さが筋形質膜の閾値または臨界脱分極値を越えると活動電位が発生し,筋収縮が起る。一方遊離されたアセチルコリンはコリンエステレースによる分解および拡散によって終板から除去される。
Much information has been accumulated recently about the neuromuscular transmission in vertebrates. In this article outlines of the mechanism of the neuromuscular transmission, together with some unsolved problems, were discussed.
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