Japanese
English
特集 脊髄血管障害
選択的脊髄血管撮影
Selective spinal angiography
福島 孝徳
1
,
千ヶ崎 裕夫
2
Takanori FUKUSHIMA
1
,
Hiroo CHIGASAKI
2
1東京大学医学部脳神経外科
2順天堂大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Tokyo Univ
2Dept. of Neurosurgery, Juntendo Univ., School of Medicine
pp.549-562
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903637
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I.はじめに
脳病変の診断には,古くEgas Monitz(1927)以来脳血管撮影が重要な位置を占め目覚ましい発展を遂げてきたのに反し,脊髄病変において脊髄血管撮影が重要視されるようになったのは,比較的最近のことである。その理由としてDjinjian1)も指摘しているように,一つは脊髄の血管系が細すぎるために,造影性が悪くしかも脊椎と重なってますます判別しにくいということと,もう一つには,最初Djinjianら(1961)2,3)あるいはDoppman,Di Chiroら(1964)4)によって行なわれた大動脈撮影(aortography)による脊髄血管造影法は大量の造影剤を必要とするため副作用も少なからずみられ,安心して脊髄疾患の診断に施行することができなかったことがあげられる。その後Ziedses des Plantesによるsubtraction法の発明により脊椎の重なりを消去することが可能となり,またレントゲン装置,造影剤の改良発展により鮮明な血管造影を得られるようになって,これらの技術的隘路は少しずつ解決されてきたが,今日の脊髄血管撮影の普及をもたらした第一の功績として選択的脊髄血管撮影(selective spinal angiography)の導入をあげなければいけない。
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