Japanese
English
故 時實利彦名誉教授を偲ぶ
友人として時實利彦君を追憶する
Reminiscence on Prof. T. Tokizane as one of his friends
上田 英雄
1
Hideo UEDA
1
1前東大内科
1Former Medicine, University of Tokyo
pp.1010
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903559
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時實利彦君とは昭和5年から9年にわたる東大医学部の同級生として,また昭和33年から12年間の東大医学部教授会の同僚として親しく交際していた。
学生時代には,君は物静かな頭のよい好青年であった。講堂に毎日出席するタイプの学生ではなく要領よく専門科を勉強し,しばしば講義を休んで好きな本を読んだり思索にふけっていた。折に触れ話される考え方や見識は高く広く,多くの友人から尊敬されていた。岡山生れで六高出身であったがスポーツマンではなく文化人・思想家というタイプであった。講義にはあまり出席しなかったが実習にはよく出席した。君の趣味は読書と園芸とされているが,少なくとも読書の趣味は抜群であった。大学の講義に出席しているときも,階段教室の最後列の席に陣取り,レクラム本やその他の書物を熟読していた。読書しながら医学の講義を聴くという優雅な生活を楽しんでいた。一部の同級生は奇人変人扱いにしていたが,常識はあり人なつこい温かさを持っていたので一般には敬愛されたのである。
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