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特集 小脳
小脳症状—臨床的分析と病変部位
Clinical and topographical analysis of cerebellar symptomes
平山 恵造
1
Keizo HIRAYAMA
1
1順天堂大学医学部脳神経内科
1Dept. of Neurology, School of Medicine, Juntendo University
pp.986-996
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903556
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Babinskiが1899年に初めて小脳症状としてasynergieを論じてから,彼の一連の臨床的研究により,種々の運動障害の中から,小脳症状が分離,確立されていった。Gordon Holmesもこれにやや遅れて,優れた観察,とくに第一次世界大戦戦傷患者における小脳症状の観察から,その症候論を展開した。またAndre-ThomasもDejerineとの研究によるオリーブ・橋・小脳萎縮症の臨床病理解剖学的研究に端を発し,戦傷患者や,さらには動物実験的研究も広く加えて,小脳の臨床,病態生理,解剖に関する多くの知見を記した。その他,数々の業績により,前世紀末に始まった人の小脳の症候学は今世紀の半ばにほぼ大成されたとみることができる。
小脳症状と小脳病変部位との関係は,小脳の中における機能の局在の問題を提起し,これに関する研究も今世紀の初めから,主として動物実験により進められた。これには大きく二つの考えがあったとみることができる。一つは小脳の各部のもつ機能を,発生と関連づけ,小脳を回・溝を尺度にして新小脳,旧小脳,さらには古小脳に分け,それぞれの出す症状を追求したものである。もう一つは小脳を回・溝にとらわれずに,その生理学的機能から区分し,その症状との関係を求めたものである。
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