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1.緒言
Subacute Myelo-Optico-Neuropathy(SMON)1)は,下痢,腹痛などの腹部症状に引き続き,末梢神経,脊髄,視神経などの症状が出現する神経疾患である。本症に関しては,1958年楠井らの臨床報告2)以来,日本各地で多数の本症の発現が明らかになり,社会的に大きい問題を示したものである。本症の原因として感染説,代謝異常説,栄養障害説,中毒説,アレルギー説など種々の推定がなされてきたが,SMON患者の緑尿からキノホルム(chinoform,iodochloro-8-hydroxyquinoline)3)が吉岡と田村4)によって検出された後,椿ら5)のキノホルム中毒説が本症の有力な原因として注目され,中江と井形6),井上と黒岩ら7)の疫学的研究でもキノホルム中毒説を支持する結果が得られている。本症の末梢神経障害に関する病理学的研究には,椿ら1),白木ら8),祖父江9),塚越ら10)の光顕的研究と松山ら11),大田12)の電顕的研究がなされてきている。光顕的研究では有髄線維の病変を論ずるにとどまることが多く,また電顕的研究でも有髄線維の病変が中心に論じられ,無髄線維,シュワン細胞の病変に関しては大田の報告があるのみで,十分な検討はなされていない。また本症の慢性期における末梢神経病理に関する電顕的研究は現在までみられない。
Eleven biopsied sural nerves and three quadriceps femoris muscles including the motor endplates from 11 SMON patients were studied with the conventional histological methods and electron-microscopically. The following results were obtained:
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