--------------------
書評「SMON」
島田 宜浩
1
1岡山大学内科
pp.506
発行日 1975年4月25日
Published Date 1975/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112303
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
SMONという疾患がわが国の医学界で有名になりはじめたのは,昭和42年ころからであろう.ちょうどそのころ岡山県においても県南にある井原市と県北の湯原町にSMON患者が多発しはじめていた.筆者がSMON患者を診察したのは,さらに遅れた43年の終りころ,井原市の流行時の患者が最初であった.その際に受けた強烈な印象のとりことなり,以来現在までほぼ6年の長い期間SMONの研究を続けている.
SMON研究のパイオニアには楠井教授,清野博士とともに本書の著者である高崎教授の名が有名である.高崎教授の研究は昭和35年12月に日本内科学会東海地方会で発表した“腸疾患経過中に発生した下半身麻痺の症例について”と題した発表が最初であり,その後多くの研究ののち昭和42年12月には本書の第1版である“腹部症状を伴う脳脊髄炎症”が出版されている.この著書はSMONに対する,まとまった単行本が他にないことと,その正確で推測を交えない記載が多くの人の愛読書たらしめ,SMONの専門的研究者から一般臨床家にいたるまで,広く座右の書として愛用されたものである.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.