Japanese
English
特集 慢性進行性神経疾患・1
中毒
生体内におけるキノホルムの運命とその作用—SMONの基礎的研究
The fate and biological effects of chinoform in animal body
高橋 康夫
1
Yasuo TAKAHASHI
1
1新潟大学脳研究所神経薬理部門
1Department of Neuropharmacology, Brain Research Institute, Niigata University
pp.844-852
発行日 1972年10月10日
Published Date 1972/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903435
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SMONの原因についてはいろいろの説が提唱されてきた。たとえば,ビールス説,マイコプラズマ説,ビタミン欠乏説などがある。一昨年9月椿教授1)によって疫学的研究からキノホルム中毒説が発表されるに至ったが,その背景としてすでに田村ら2,3),井形ら4)によるSMON患者の緑毛舌の存在の意義づけ,緑色尿の分析によるキノホルムおよびキノホルムと鉄のキレート化合物の発見という重要な報告が存在していたことは注目されなければならない。しかし,前記の椿の提唱はあくまでも疫学的研究であり,この説を確かめるためには実験的研究が必要であることはいうまでもない。
この総説で筆者がまとめようとすることは主としてこの問題についてわれわれが行なった実験5〜12)についてであるが岡山大学の緒方,大月,渡辺らのグループ13〜20),東京大学の豊倉,松岡らのグループ21〜25)の行なった重要な寄与についても随時ふれたいと考えている。
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