Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
無脳児の病理解剖学的研究—主要臓器の発育との関連を考慮して
Pathology of the anencephalus with reference to the organ development
橋本 重夫
1,2
Shigeo HASHIMOTO
1,2
1日本大学医学部第二病理
2Department of Neuropathology, New York State Psychiatric Institute
12nd Department of Pathology, Nihon University, School of Medicine
pp.259-266
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903375
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Ⅰ.序
脳の奇形に関する研究のうちでも,きわめて多くの業績が挙げられている無脳児に関しての病理解剖学的研究は比較的に少なく,そのうちで,内分泌臓器についてのものがほとんどである。これは本症が脳の大部分または全部を欠如し視床下部下垂体系の異常,その結果相互に密接な関連をもつ内分泌臓器の研究には好個の材料たり得ることによる。しかしStowens1)も指摘するごとく,全く幸運にも長期に生存した無脳児を詳細に検索し得るならば,内分泌臓器相互の変化のみならず,一般内臓への脳の機能が及ぶ影響をも追求できるものと考える。その方向への努力もなされてしかるべきと思い著者は無脳児の生産と死産例との差について一般諸臓器における特異点を求めて先に発表2)したがここにさらに3例を追加してまとめ,考按において比較的最近の主として病理解剖に関する文献を挙げて無脳児研究の動向を概観する。
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