Japanese
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特集 第7回脳のシンポジウム
主題—慢性進行性神経疾患の中から
Neuro-Behçet症候群の臨床—疫学,臨床病理学的研究を中心として
Epidemiological and clinicopathological studies on Neuro-Behçet's syndrome
清水 保
1
Tamotsu SHIMIZU
1
1帝京大学内科
1Internal Medicine, Teikyo University School of Medicine
pp.167-178
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903364
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I.はじめに
Behçet病(Behçet症候群)は粘膜・皮膚・眼部領域をはじめ,炎症性病変は消化管粘膜,関節,血管系,中枢神経系などに広く全身的に出没し,その臨床症状の多彩性と病像の再燃性を特徴とする難治性の疾患である。
本症における神経系症状の合併例は最初P. Knapp(1941)1)により報告され,剖検例についてはC. Berlin(1944)2)例を第1例とするが,神経系症状を主徴とする型にNeuro-Behçet syndromeの呼称を提示したV. Cavara & D'Ermo(1954)3)にちなんで,爾来Neuro-Behçet症候群(Neuro-Behçet病)と呼ばれている。近年Behcet病の急増にともない,Neuro-Behçet型も増加し,かつ予後不良のものが多く,Behçet病致死例の主因をなしている点が注目され,その発症機構に関して従来,viral origin,allergic originまたslow virus infectionやその感染アレルギーなど諸説がなされてはいるが,いずれも確証,再現性に乏しく,現在究明を急がれている難治性疾患である。本稿ではBehçet病とくにNeuro-Behçet型に関する自験所見について記述し,考察を加える。
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