Subacute Sclerosing Panencephalitis（SSPE）研究の最近の進展，とくに麻疹様ウイルスの分離について

Some remarks on recent progress in subacute sclerosing panencephalitis (SSPE) study, with special reference to isolation of measles-like virus

I．はじめに

　最近，多発性硬化症，Jakob-Creutzfeldt病，Progrcssive Multifocal Leukoencephalopathy（PML），Subacute Sclerosing Panencephalitis（SSPE）などの原因の明らかでない脳疾患をslowなvirus infectionと考え，これらよりウイルス分離の努力が続けられている。しかしこの面で一歩先がけたのは最近のSSPE研究であろう。以下1933年のDawsonによるSSPEの最初の記載より，最近のウイルス分離にいたるまでを，とくにそのウイルス分離の過程を中心に述べてみたいと思う。原因不明の脳疾患よりウイルス分離を試みるさいに何か示唆するところがあれば幸いである。