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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
単一神経細胞中のγ-アミノ酪酸の定量
Measurement of γ-aminobutyric Acid in Single Isolated Nerve Cells
大塚 正徳
1
Masanori Otsuka
1
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.332-333
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903241
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われわれはこれまで遊離した単一神経細胞についてγ-アミノ酪酸(GABA)含有量の測定を行なつてきたが,以下甲殻類の場合と哺乳動物中枢神経系の場合とを比較して述べることにする。
単一神経細胞のGABAを測定することには,他の物質の測定と比べていくつかの有利な条件がある。第一にGABAが伝達物質であることは甲殻類神経系では確実であり1),また哺乳動物中枢神経系においてもかなり確からしい2)。しかもGABAはこれまでのところ,抑制性伝達物質としてのみ知られているので,したがつて神経細胞のGABA含量の測定結果はそのニューロンの生理的機能に関して情報を与えることができる3,4)。第二にGABAは神経組織中に高濃度に存在するため測定が容易である。たとえばサルのsubstantia nigraでは10μmoles/g新鮮組織という結果が得られている5)。これに比べてアセチルコリンはネコの脊髄前根で0.08μmoles/gと,100倍以上の開きがある6)。第三にGABAについては優れた微量定量法が知られていて,螢光法によると10-11moles7),さらにenzymatic cycling8)を用いると2×10-14molesまで測定可能である9)。これに比べてbioassayによりアセチルコリンを測定できる限度は3×10-12moles程度である10,11,11α。
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