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特集 脳のシンポジウム
主題—脳死をめぐつて
脳髄死判定法についての1試案—脳神経外科死亡例に関する臨床的検討から
Trial for Determination of Brain Death Clinical Analysis of the Experienced Cases in the Neurosurgical Field
宮崎 雄二
1
,
高松 秀彦
1
Yuji Miyazaki
1
,
Hidehiko Takamatsu
1
1札幌医科大学脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Sapporo Medical College & Hospital
pp.53-57
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903099
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いとぐち
脳死判定の資料としてSchwab et al.(1963)1),Hamlin(1964)2),Hockaday et al.(1964)3),Spann et al(1967)4),Rosoff and Schwab(1968)5)などの記載によつて平坦脳波の確認が重要であることが強調され,とくにHockaday et al. は脳波の分類を行なつてgrade-VaまたはVbを脳死判定のための脳波であるとした。しかし一方ではこのような平坦脳波を示しても生存しえた症例が報告された。すなわちBental and Leibowitz(1960)6)は4週間平坦脳波を示した脳炎症例が社会復帰したことを報告し,本邦でも津田・宇山7)は急性睡眠薬中毒例にて平坦脳波を認めたが生存しえたことを述べた。このように平坦脳波が脳死確認のポイントとして強調される一方,平坦脳波が可逆的であつた例も報告されたことから,脳死判定における平坦脳波の価値について一抹の懐疑がないとはいえない。このような平坦脳波をめぐる懐疑が生じた理由は脳死判定の資料として脳波のみをあまりにも重視したためであると思われる。
著者は脳死の判定は,患者の原疾病,臨床症状,脳波所見の3者によつて行なうべきであると考え,臨床所見として脳幹の血管運動中枢機能障害による血圧低下を重視している。
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