特集 錐体外路系・Ⅱ
Choreatische Bewegung
安藤 一也
1
,
富田 滋
1
,
祖父江 逸郎
1
K. Ando
1
,
S. Tomita
1
,
I. Sobue
1
1名古屋大学医学部第一内科
1The 1st Internal Dept., Nagoya University School of Medicine
pp.21-34
発行日 1959年11月1日
Published Date 1959/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901718
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大脳皮質の運動領野と関係を持つ皮質下の諸核とその間の連絡線維群は皮質の運動領域より惹起される筋活動を調整するのに重要で,こうした部に病変を生ずると筋活動の正常な運営が失われ,意志に基づかない不随意な運動が誘発されたり,随意運動が減少したり,又,筋の緊張に異常を生じて来る。これらは今日,錐体外路性疾患として総括されているものであるが,この内choreaと呼ばれるものはathetosis, ballism, dystoniaと共に自発的に不随意に起る運動過剰(hyherkinesia)の現象で,環境の中での個体の要求とはまつたく無関係な異常な筋活動をさしている。
choreaという語はギリシヤ語で舞踏を意味し,舞踏様運動が身体全体,又はその一部,殊に顔面四肢末端に限局して起るもので,筋生理学的には不随意に起る単一筋又は筋群の攣縮であり,その攣縮及び休止期には全く規則性が見られないものである。各筋の間の協調は失われ,偶然的,同時酌に数個の筋が収縮し,奇妙な運動の型をなし,時には一見随意運動様に見えても正常にほその運動に当然随伴する他の筋活動が欠如するのが見られる。
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