特集 第1回国際神経科学会展望・2
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第3回国際神経病理学会に出席して
白木 博次
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
pp.650-652
発行日 1958年4月30日
Published Date 1958/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901635
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7月21日から28日にわたつて,ブラッセル(ベルギー)において,第1回国際神経科学会(1st International Congress of Neurological Science)が開かれた。第1回という意味は,神経学関係の6部門の国際学会が,はじめて一堂に会したとの理由からである。このうち国際神経病理学会は,第1回のローマ,第2回のロンドンにひきつづき,第3回目のものであつた。この学会でのmain topicは,第1回のときと同じく,"脱髄疾患の病理"であつたが(24日午後),これは同日の午前,第6回国際神経学会がそのmaintopicとしてとりあげた,"多発硬化症と脱髄疾患"のそれと歩調をそろえたものである。この神経学会では,アメリカのMerrittの司会のもとに,まずノルウエーのKrohnが発言し,ついでアメリカのKurlandが"多発硬化症の頻度と疫学"をアメリカのKabatが"実験的播種性脳脊髄炎における免疫化学的機構"を,オランダのEdgarが"脱髄疾患の神経化学"を,そしてイギリスのMcAlpine(目下来日中)が"多発硬化症における家族性発現と遺伝因子の役割"を,それぞれ講演し,その上で各国の学者によつて討論がおこなわれた。
国際神経病理学会の講演と討論の詳細は,後述するのでここでは省略し,単にその全体的な印象をのべるにとどめておきたい。
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