みえる! わかる! 精神科のくすり 第3章 用語解説
16 運動調整に関する脳領域
中村 友喜
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1三重県立こころの医療センター診療技術部 薬剤室/感染管理室
pp.618-619
発行日 2024年3月31日
Published Date 2024/3/31
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2024040032
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- 文献概要
私たちは日常生活の中で多くの運動や動作を無意識に行っていますが,その複雑さに気づいていることはほとんどないと思います.例えば,単に立っているだけでも視覚から得られる情報や足裏の感覚の情報,姿勢のわずかな傾きを感じる前庭器官からの情報シグナルに反応して姿勢を保つのに必要な筋肉の収縮と弛緩を絶えず調整する必要があります.また,野球のバッターがピッチャーが投げるボールを打つ動作やフランツ・リストのピアノ曲「ラ・カンパネラ」の演奏に関する運動は非常に高速かつ複雑であるため,運動を感覚情報からのフィードバックによって補正しているのでは間に合いません.このような運動は,小脳などの運動中枢が運動指令の出力結果をシミュレートする予測モデルを利用して,極めて短時間での補正によって成り立っています.
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