Japanese
English
原著
鎭痛薬の働きとその応用—電気生理学的にみた鎭痛薬の作用機序に関する再検討
Site and Mechanism of Action of Analgesics on the Central Nervous System
安原 基弘
1
Motohiro Yasuhara
1
1関西医科大学薬理学教室
1Department of Pharmacology, Kansai Medical School
pp.387-396
発行日 1957年10月5日
Published Date 1957/10/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901601
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まえおき
最近電気生理学の発展につれ,これを応用した薬理学的な研究も数多く行われるようになり,特に中枢神経系の薬理学はこれによつて旧来の様相を一新したかの観がある。このような研究が知覚を対象とする薬物に於いて最初に取り上げられたのはDerbyshireたち1)をもつて初めとするが,彼らはEtherやBarbiturateなどの麻酔薬が求心性の誘発電位を抑制することを明らかにしている。けれどもその後この方面の研究は我が国に於いて殊によく検討されており,鎮痛薬の作用機構もその概略を知ることが出来るようになつた。そこで私は本論文に於いてはこのような我が国で行われた鎮痛薬の作用機構に関する研究を中心として,これについて私の見解を述べてみたいと思うのである。現在このような研究の対象とされている現象としては上記誘発電位の他に反射性の筋放電があるが,先ず誘発電位を対象とした研究から述べてみたいと思う。
一口に鎮痛薬といつても非常に数多くのものがあり,広い意味では滑平筋に作用してその痙攣を除くAtropineや亜硝酸塩なども含まれるが,本論文に於いては主として中枢神経系に作用して痛みを取り除くと老えられる薬物をとりあげ,狭い意味での鎮痛薬であるMorphineとAminopyrineに麻酔薬であるEtherとBarbiturateを中心に話しを進めてみたいと思う。
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