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各種鎭痛剤の効果判定に対する疼痛計の応用
清水 弘
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1京都府立医大耳鼻咽喉科学教室
pp.159-162
発行日 1955年3月20日
Published Date 1955/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201297
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1.緒言
疼痛は我々の肉体的な苦痛の中でも王座を占めるものであつて,「痛みさえ止れば」とか「せめて痛みだけでも止めてほしい」と云う患者の訴えは絶えず我々の耳にする言葉である。実に疼痛は患者にとつて最大の苦痛であり,又我々が取扱う処置の中でも最も厄介なものの一つである。
しかし,鎮痛方法を発見するためには痛みと云う感覚を他覚的に測れる事が望ましい。此の痛みを他覚的に測る方法は昔から色々と試みられた様であるが,1940年にHardyが輻射線を利用した疼痛計を発表して以来その装置が簡単な上に測定結果の相当正確な事からその原法或は変法が諸家によつて用いられた。Hardyは此の方法で数種の藥物の鎮痛効果の検定を行つている。例えばアスピリンは投与後一時間で最高の効果を示し,更に痛みの閾値と熱いと感じる閾値を測定した結果アスピリンは痛みに対しては感覚を鈍感にするが熱感覚を敏感にする事を示している。即ち,痛みを伝える神経線維と熱感覚を伝える神経線維は別のものではないかと述べている。
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