Japanese
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特集 脳腫瘍
脳腫瘍における脳波検査の意義
The Significance of Electroencephalography in Intracranial Tumors
佐野 圭司
1
Keiji Sano
1
1東大脳神経外科脳研究所
1Dep't. of Neurosurgery & Brain Inst. Univ. of Tokyo
pp.267-282
発行日 1957年10月5日
Published Date 1957/10/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901592
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脳腫瘍すなわち頭蓋内腫瘍が脳波になんらかの変化を及ぼすことは,すでにBerger4)以来知られており,多数の文献の集積がある。しかしながら今日テンカンといえばすぐ脳波と頭に浮かんでくるほど,脳腫瘍と脳波との結びつきは密ではないのである。すなわち,脳波検査は脳腫瘍の診断には決して必要不可欠のものではなくて,症状やレントゲン検査などでなかなか診断がつかない場合に,まあ脳波でもとつて見ようかなどと,「まあ」とか「でも」をつけて口にされるのが常である。そのおもな理由は脳腫瘍に特有な脳波変化というものが存在しないからである。
異常脳波にはいろいろなものが考えられるが実地臨床上からは棘波群(spike group)と徐波群(slow wave group)のふたつに分けられる15)17)。テンカンは主として前者に属し,腫瘍はおもに後者のなかまに入る。もちろんこれは両群が氷炭まつたく相容れないということではない。テンカンにもしばしば徐波が見られるし,徐波群に属する脳腫瘍も時として棘波を示すことがある。しかしテンカンの際のあらゆる脳波変化に共通しているのは棘波であり,棘波こそテンカンを特徴づけるものである。しかるに徐波群には脳波変化と疾患との間にかような一義的な関係は存在しないのである。
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