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ロボトミーとパンピング療法に就て
靑山 博
1
1大阪大學醫學部第一外科教室
pp.59-63
発行日 1949年2月20日
Published Date 1949/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200415
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緒言
精神病の外科的侵襲,即ち前頭葉白質切截術に關しては,現在各方面から盛んに研究されて居るのであるが,我が小澤外科教室に於ても昭和21年7月以降,約60例の精神病其の他の患者に之を實施し,術前術後の觀察を行つて來た。此の手術後發生する症状の中,自發性の喪失,減動状態,怠情無精,高度の感情の退化及び屎尿失禁等は術後の最も不快なる症状であつて,智能の特別の低下なく,又内向性が外向性に轉向して來るに拘らず,永く社會生活に適應出來ないのは,之等の症状が比較的高度に永く存在する爲であり,此の手術の最大の缺點と考へられる。之等の症状に對して,Speransky氏の所謂パンピング療法を實施すると,之等の症状は比較的早期に著明に恢復し,看護上にも又日常生活にも好影響を與へ,患者は社會生活にも耐へ,職業に從事することが可能になつて來,所謂社會的治癒が早められる。目下米國に於ては,精神症状の寛解と社會的生活に於ける適應,即ち後述する如く,切截面の選擇の問題が重要な課題となつているのであるが,このロボトミー後のパンビング療法併用は,此の問題を或程度解決し得ると信じ,茲に發表する次第である。
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