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特集 てんかん
Discussion
てんかん発作の面からみた大脳半球剔除術例の遠隔成績
FOLLOW-UP STUDIES OF CFREBRAL HEMISPHERECTOMY WITH SPECIAL REFERENCE TO EPILEPTIC SEIZURES
中井 昴
1
,
斉藤 佐内
1
Subaru Nakai
1
,
Sanai Saito
1
1新潟大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Niigata University, School of Medicine
pp.295-298
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201231
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私どもは昭和30年来,半身麻痺に加えて抗痙攣剤で制御しがたいてんかん発作,あるいは精神障害を合併せる脳性小児麻痺(Infantile hemiplegia)の9症例に大脳半球剔除術を行なつてきたが,術後21日目に突然のてんかん重積症の状態で死亡した症例7を除いた残りの8症例につき,2年8カ月から満5年にわたる術後観察期間をもつにいたつたので,今回てんかん発作の面からみた遠隔成績を報告する。なおこの中の症例1は術後満4年目に自律神経失調の繰りかえしの後,窒息により死亡した。
これら8症例とも術前には激しい大発作型を主とする様々の型のてんかん発作を頻回にみており,抗痙攣剤の服用によつても3症例にある程度の効果がみられた以外はまつたく制御不能であつた。この8症例の中,症例3,4,5,6,および9の5症例が現在抗痙攣剤の服用なしにまつたく発作をみていない。すなわち症例4は術後37日目に全身痙攣発作を1回みているが,その後4カ月間少量の抗痙攣剤の服用をつづけた後服薬を中止して,その後4年6カ月にわたり発作はまつたく消失している。症例3,5,6,9の4症例は術後それぞれ4年10カ月から2年8カ月の間まつたく発作から解放されており,いずれも術後半年ほど服薬をつづけたがその後は服薬を行なつていない。そしてこれら5症例ともてんかん発作からの劇的な解放と平行して,精神機能の面においてもいちじるしい改善を認めそれぞれまがりなりにも他人とともに教育を受けている状態である。
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