特集 うつ病—日本精神病理・精神療法学会(第4回大会シンポジウム)
Ⅱ部 Schuldgefühl(罪責感)
Ⅱ部における討論
pp.386-389
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201334
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司会(宮本) これで一応,4人の先生方のお話が終わつて討論に移るわけですが,問題がかなり分散している傾向があるようです。が,非常に臨床的な問題から始まつて,いつたい,真の罪とは何かとか罪の概念であるとか,少し臨床から離れたような問題にまで,非常に多岐にわたつておりますが,演者同士の質疑がありましたら,まず最初にお願いしたいと思います。
近藤 さつき,私,社会文化的な観点から罪責感の日本的な現われかたというようなことを,ちよつと問題にしたのですが,その点について,木村先生にうかがいたいと思うのです。先生は向うに行かれた経験もございますし,この問題を論文に発表されておられますから,いろいろ豊富な資料をお持ちだと思います。一つはいうまでもなく罪責感の訴えが一般に減つてきたということで,これは世界的な現象らしく,いろいろな人が指摘しているようですし,また,さきほどあげた統計によりますと,なかでも宗教的,倫理的な違犯とか,犯罪,性に関するものが減つてきて,かわりに家族や,職業上の責務についての罪責感が非常にふえてきたということ。それから不全感とか,仕事がよくできない,作業能力が落ちたというふうなことについて,異常に心配する,懸念するというような傾向が非常に多くなつている。
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