特集 住民の保健をいかに進めるか—第5回社会医学研究会・主題報告と総括討論
主題報告
討論
pp.627-628
発行日 1964年11月15日
Published Date 1964/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202927
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久保(新日本医師協会) 地域住民の健康管理を進める中で,地域住民が自からどのように問題をつかみとり,さらに健康を保持するために自から運動を進めていつたか。住民にもし要求があれば自からそういう運動がでてくるはずだが,その点もうすこし追加してほしい。
若月(佐久総合病院) そのひとつとして戦後八千穂の隣の稲子部落にすぐれた衛生看護卒であつた人がもどってきて,世話役活動をやつていた。そのうち部落に病気になる人が多いのに無医地区だから出張診療をやつてくれと言ってきた。部落の人たちは健康を守る会をつくり,自から金を集めて運動をはじめた。その後10年たってその人がその地区の区会議員になり,村会議員,町会議員になつて大いに働らくようになった。この人は共産党員であったが,地区の人々の衛生活動をぜひ伸ばしてほしいという要望が,彼を議員にしたといえる。その町には当時国保がなかったが,彼を中心とした努力によって南佐久23カ町村のうち5番めの国保をつくった。いまでは健康を守る会というよりは区全体が,町から無医地区ということで金をもらい,私たちを呼んで健康管理をやっている。また婦人の子宮癌の予防活動もはじめ,国保の保健施設費の中から10万円をとって町全体の希望者の検診をはじめるようになっている。まあ1例としてこういう動きもある。
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