Japanese
English
特集 代謝障害と神経疾患
パラチオン中毒
Parathion Intoxication
茂在 敏司
1
,
室 隆雄
1
,
宇尾野 公義
1
,
渡辺 晴雄
1
T. Mozai
1
,
T. Muro
1
,
K. Uono
1
,
H. Watanabe
1
1東大冲中内科
1Dept. of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Tokyo Univ.
pp.90-108
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901525
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1.緒言
第二次大戦中Nicotineの入手に悩んだドイツの化学者は之に代る薬剤の研究に力を傾け,有機燐化合物を得るに至つた。彼等がBladanと名付けたものはその一つで,蚜虫,蝨その他種々の有害な昆虫に対し,Nicotineよりもはるかに効果をもつことが証明されたのである。此のようなドイツにおげる一連の研究は,戦後間もなく連合国科学界にも詳細に知られるようになつた。此の有機燐化合物の研究は更に軍事目的にそつて有名な"Nerve Gas"にまで発展していたのであるが,これについては機密保持の為か,文献的にも殆んどうかがい知ることは出来ない。しかし得られている一連の化合物の作用は強弱の差こそあれ,有機燐剤のもつ特性による同質の機構によるものと老えられている15)。扨幾つかの化合物のうち,米国で先ず認められ,使用され出したのはHETP,TEPP及びParathionである。前二者は燐酸エステルの混合物(Triethyl phosphate 3M. とPhosphorus oxychloride 1M. とを反応させると(C2H5)6P4O13なる組成Tetraphosphoricacid Esterが得られる。これは実際にはEthylmetaphosphate,Triethyl-ortho-phosphate,Tetaretehylpyrophosphateの混合物であつて,HETPといわれる。
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