Japanese
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特集 代謝障害と神経疾患
間脳下垂体系疾患の病理
On the Pathology of Hypothalamohypophysial System
吉田 和夫
1
Kazuo Yoshida
1
1名古屋市立大学神経精神科
1Dept. of Neuropsychiatry, Nagoya City Univ.
pp.21-34
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901521
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間脳下垂体系疾患の病理を研究する立場は種々あるが,大きく二つに別けて考えることが出来るだろう。第一は広く体液病理学的な立場に立つて,全身の神経系統及び内分泌器官の協調と云う看点に立つものであつて,Selye,Roussy,Mosinger,等多くの人達がこの様な考え方をもつている。然しこの様な立場に立てば,脳下垂体と副腎更に他の内分泌腺との関連も当然重要であるだけでなく,神経系統に於ても単に間脳に止まらず大脳皮質や中脳,延髄等全神経系統も考慮にいれる必要がある。従つてこの場合は間脳下垂体系なる概念が云わば存在意義を失つて,より大きな総合的見地の中に解消してしまうのである。
第二の立場は間脳特に視床下部と脳下垂体との闇に密接不可分離な関係があり,両者は単一な機能系統をなすと考えてゆく立場である。第一の立場が総合的理論的であるのに比し,第二の立場はより分析的,実証的であつて,個々の形態学的観察及び生理学的実験は多くこの指導仮説に基いて行われている。勿論この二つの立場は相補うものであつて決して対立するものではなく,将来の研究け常に第一の広い視野即ち所謂相関病理学的立場を考慮しつつなされねばならないと思う。
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