Japanese
English
特集 味と匂いの神経機構
序論
Introduction
酒田 英夫
1
Hideo SAKATA
1
1日本大学医学部第一生理学教室
11st Department of Physiology, Nihon University School of Medicine
pp.617-619
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901078
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味覚と嗅覚は化学受容器によって起きる感覚として共通しているばかりでなく,食物や飲み物の味は匂いと味が一体となって知覚されるから脳の中に共通の領域があるに違いない。学問の領域としても共通の「味と匂い学会」が30年以上前から続いている。しかし視覚や聴覚に較べると複雑で識別の難しい感覚であるため神経生理学的研究はかなり遅れていた。
数年前AxelとBuckによって数百種類にのぼる匂い受容タンパクが,分子遺伝学的な手法で一度に発見されてからまったく新しい展望が開けた。さらに嗅粘膜に散在するある一種類の受容タンパクを持つ嗅細胞から出る嗅線維が嗅球の中にあるたった1個の糸球体に集まることが明らかになったので,一見混沌とした嗅覚情報処理も有限個の匂いレセプターの活動の組合せを検出する論理的な神経回路網として解明される見通しが開けた。
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