Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
グルタミン酸は,脊椎動物中枢神経系において主要な興奮性神経伝達物質であり,記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている(Monaghan et al,1989)。しかし,その機能的な重要性の反面,興奮毒性という概念で表されるように,過剰なグルタミン酸は神経細胞障害作用を持ち,様々な神経変性疾患や脳虚血に伴う神経細胞死などの原因と考えられている(Choi,1988)。したがって,シナプス間隙におけるグルタミン酸濃度の制御は,生理学的・病態生理学的に重要な意味を持つ。グルタミン酸トランスポーターは,細胞外グルタミン酸濃度制御にとってもっとも重要な分子で,シナプス前部から放出されたグルタミン酸をシナプス間隙から取り除き,細胞外濃度を低下させることを主要な役割としている。近年,グルタミン酸トランスポーターの分子的実体が明らかになり,それらを欠損させたミュータントマウス(ノックアウトマウス)の解析を通じ,グルタミン酸トランスポーターの機能的役割が明らかになりつつある。本稿では,筆者の研究室を中心に明らかになったグリア型グルタミン酸トランスポーターの機能について概説する。
L-Glutamate is the major excitatory neurotransmitter in the mammalian central nervous system. High-affinity glutamate transporters are belived to be essential for terminating synaptic transmission as well as for keeping the extracellular glutamate concentration below neurotoxic levels. Five subtypes of glutamate transporter (GLT-1, GLAST, EAAC1, EAAT4, and EAAT5) have been cloned, but the roles of these five glutamate transporter subtypes in synaptic transmission and neurotoxicity are not known.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.