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はじめに
視機能を得るためには網膜神経上皮(NR),とくに黄斑部の視細胞(PR)と色素上皮細胞(RPE),および網膜,脈絡膜の循環が正常でなければならない。とくにPRとRPEは病変の好発部位として視機能障害と深くかかわっており,またその多くは現在のところ有効な治療法が見出されていない。このような疾患に対して適切な細胞の移植によって治療,再建を計ろうという試みが最近注目を集めている。その方法はRPEを移植するものと1),視細胞を移植するもの2),神経網膜全体を移植しようとするもの3)の三つに分けられる。このうちRPEは神経網膜と同じ神経外胚葉から分化した一層の色素細胞層で,われわれが日常経験する眼疾患もRPEをその病変の場としているものが多い。また老化に伴う機能異常の出現頻度も高く,とくに視力と直結している黄斑部の病変はただちに急激な視力低下という大きな結果をもたらす。過去10年,高齢化社会の到来とともに加齢黄斑変性症が増加し,社会的な失明状態に陥る患者数が増加している。この疾患に対する新しいアプローチ,とくにRPEの移植による治療の可能性を目指してわれわれが行っている研究の現況について紹介してみたい。このほかに視細胞移植に関する研究も進んでいる。
To keep the retinal function normal, the retintal pigment epithelium (RPE) must be well maintained. Recently, several workers have attempted RPE transplantation to save photoreceptors in retinal dystrophic animals (RCS rat, rdy/rdy). This paper reviews recent work in this field and describes the authors' experiences in RPE transplantation for these animals. For future clinical application of this technique, we presented the methods for keeping RPE cells in vitro and in deep freezing condition.
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