追悼
Belt先生の想い出
南 武
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
pp.1113
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203059
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Belt先生御夫妻が昭和33年東京においでになつた時,御希望により知人の宮内庁病院の目崎鉱太博士に頼んで,皇居のお庭を御案内した。その時,漢字にもよく通じておられることに驚いたことがある。昔,跳ね橋があつたという宮城内の堀のそばを歩いている時,水から思い出されたのであろう,メモ用紙に海を初め「さんずい」のつく字をいくつか書いて,これのつく字は水に関係しているんですね,と言われたり,木偏の字も何字か書いてその意味をいわれたことが思い出される。博学な先生であつた。また,これも先生からの御希望で日本民芸館にも御案内したが,民芸品と限らず美術,芸術に深い興味と造詣を持つておられるのに敬服した。私は初めてだつたし,探してそこに着いた時にはすでに門限の四時を少しすぎていて受付の処でことわられた。ところがちようどそこに車椅子に乗つた館長の柳宗悦先生が御帰りのために出てこられた。そこで走り寄つてBelt先生のことを説明して特に観覧を許していただいた。あの時Belt先生御夫妻にお見せすることができて良かつたと思つている。
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