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はじめに
ミトコンドリアは細胞内小器官でエネルギーを産生する重要な働きをする。ミトコンドリアの機能が低下すると,エネルギーを大量に必要とする骨格筋,心筋,中枢神経系に障害を来たす。そのためにミトコンドリア病はしばしばミトコンドリア脳筋症(mitochondrial encephalomyopathy)とよばれる。また,全身の諸臓器も広く侵されるのでミトコンドリアサイトパチーとよぶことを推奨している人もある。
ミトコンドリアの生化学,分子遺伝学的研究が進むにつれて,過去に原因不明とされた疾患の中にミトコンドリア異常が次々と明らかにされるようになってきた。後述する臨床的特徴によって分類されてきた疾患群もミトコンドリアDNA(mtDNA)変異とよく対応する。ただmtDNAの変異という点からみると,一個の点変異が実に多彩な症状を示すことも明らかにされた。変異mtDNAが何を意味するか,今後変異したDNAと臨床像,病理像,生化学異常をよく対比させ研究を進めることが重要となるだろう。
The mitochondrial diseases have been classified into three major forms on the clinical bases, including chronic progressive external ophthalmoplegia (CPEO), mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes (MELAS) and myoclonus epilepsy associated with ragged-red fibers (MERRF). Each disease has a disease specific mitochondrial (mt) DNA mutation; large scale deletions in CPEO, point mutations at nucleotide pairs (nps) 3243 or 3271 in MELAS and at np 8344 in MERRF.
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