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I.はじめに
いくつかの有力な研究法が最近の神経生物学の発展を支えてきたが,形態的研究では免疫組織化学法と神経標識法が大きな役割を果たしてきた。これらの方法を利用して,1970年代後半から現在までに神経回路網の解析と化学物質の局在を知ろうとする化学形態学的研究が飛躍的に増大した。旧来の研究方法である鍍銀法に代わって,神経発生の研究でも神経標識法と免疫組織化学法が神経結合(回路)形成過程の詳細な観察や,新しい実験発生学的アプローチを可能にした。
方法論の進歩は神経発生の研究に大いなる光明をもたらしたが,それらを利用するさいにとくに大事な点は,実験に用いる動物種と投射系の選択である脚注)。最終共通路である脊髄前角細胞への神経回路形成の研究は,胎児の運動機能発達の形態学的な背景を知りたいといった興味も加わり,1930年代に鍍銀法を利用して活発に行なわれた30)。その結果,脊髄内の比較的近い場所での神経回路,たとえば脊髄反射弓の神経結合形成の過程が明らかにされ67),さらにその後の電子顕微鏡による研究によりシナップスの形成過程が詳細に観察された3,16,28,29,31,32,46,61,65)。しかし染色結果が不安定なことが鍍銀法の最大の欠点であり,鍍銀法による連続切片標本を観察して遠くに投射する線維結合を追うことは困難であった。
Because the capacity of brain to produce body and limb movement depends on the descending projections to the spinal motoneuron, a considerable amount of research has been devoted to ontogeny of supraspinal inputs as an anatomical substrate for development cf motor functions. Although silver impregnation techniques in 1930's provided us considerable knowledges on pathway formation, no major advances have presented until 1980's.
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