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はじめに
生体の機能を維持するうえで重要な役割をもつ情報の交換,収縮・分泌機能などは,電位依存性のイオンチャンネルの機能に依存している。電位依存性のイオンチャンネルは,一般的な性質として,(1)膜電位の変化を感知する,(2)活性化過程と不活性化過程から成り立つゲート機構をもち,電位と時間依存性に開閉を起こして1チャンネル当り107/secのイオンを通す,(3)特定なイオンに対し選択性をもっている。今日,これらイオンチャンネルの膜蛋白の構成アミノ酸が明らかになったことから,特殊に分化したイオンチャンネルの機能に直結した高次構造の解析が待望されている。有力な研究方法の1つとして,特定のイオンチャンネルの性質を改変する生物毒を利用した生理学的・薬理学的方法がある。中でもNaチャンネルが神経・骨格筋・心筋の信号発生に重要な役割を担っているため,多くの生物毒がこのチャンネルを標的としているので,多彩な薬理作用を発揮する生物毒が利用できることになる。得られた全部の情報について網羅することは筆者の能力を越えているので,ここでは筆者の学問的興味に従って取り上げ,内容に濃淡をつけ紹介することをお許し願いたい。Naチャンネルに作用する生物毒の作用別の分類については,Catteral2)による実用的分類に準拠した。
After elucidating the primary structure of various Na channels, main interest is being focused on what molecular structure is responsible for the functional characteristics of ion channels, consisting of gating process, ion selectivity and sensor for the change in electrical field within the cell membrane. At present, two lines of approach are promising, the pharmacological study using the biological toxins and the structure-function study using the point mutation of c-DNA. In this articles, the pharmacological properties of several biological toxins which selectively modify the Na channel functions have been reviewed and an attempt to reconcile the pharmacological findings with those obtained from the molecular biology studies has been made.
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