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I.はじめに
脳神経系は神経細胞(ニューロン)とアストロサイト,オリゴデンドロサイト,ミクログリアなどのグリア細胞で構成されている。ニューロンは胎生期に分裂増殖後,分化するが,グリア細胞はニューロンの増殖が終了する出生時頃から増殖,分化が始まるとされている。また,近年グリアが産生する種々の栄養因子(神経成長栄養因子)が,ニューロンの生存維持,突起伸展の促進,あるいは神経伝達物質関連酵素活性を高めることが報告されている。一方,反対にニューロンがアストロサイトの増殖をコントロールしていることも知られている。これらの事実は,脳神経系の発達過程においてニューロンーグリアの相互作用が,重要な役割を果たしていることを示している。筆者らは,ラット胎仔大脳半球ニューロンの無血清初代培養系を用いて,脳神経系ニューロンの発達過程におけるアストロサイトの役割に注目し,とくにアストロサイト由来液性因子について研究を進めてきた。本稿では,筆者らの結果を含め,ニューロンの突起伸展を促進するアストロサイト由来液性因子について,現在までに知られている知見を紹介したい。なお,本稿では,初代培養系アストロサイトのほかに,ラットアストログリオーマC6由来の突起伸展因子も含めて紹介したい。
This reviews concerned with the neurite-promoting factors that were synthesized and secreted by astroglial cells. The astroglia-derived neurite-promoting factors can be classified into the following three groups; ① extracellular matrix components (laminin, laminin-proteoglycan complexes and fibronectin), ② protease inhibitors (glia-derived nexin) and ③ growth factors and cytokines (nerve growth factor, basic fibroblast growth factor and interleukin-6). It has been demonstrated immunochemically and immunocytochemically that these factors were produced by cultured astroglia or glioma cell lines.
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