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はじめに
1970年代の初め,Glennerらによって原発性全身性アミロイドーシスのアミロイド蛋白の構造決定がされ,免疫グロブリンのL鎖であることが判明して以来,種々のアミロイド蛋白が発見されて,臨床病型との関連も次第に明らかになってきた(Glenner, G. G.,1980)19)。脳のアミロイドについては,その沈着量が非常にわずかであることから,臨床病理学的研究に比べ生化学的分析は遅れていた。1980年代前半になって微量分析技術の進歩に伴い,遺伝性アミロイドーシスの一つであるアイスランドの遺伝性脳出血(hereditary cerebral hemorrhage with amyloidosis;HCHWA)のアミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy;CAA)の脳より,脳血管壁に沈着したアミロイド蛋白の分析が行なわれ,cystatin C(γ-trace)の沈着であることが発見された(Cohen, et al.,1983)6)。以来,同様な方法を用いて,アルツハイマー病の脳血管のアミロイドの分析からβ蛋白が発見され(Glenner, G. G.,et al.,1984)21),その後遺伝子レベルでの研究へと,脳アミロイドの研究は近年飛躍的に進歩してきた。
CAAは,脳の血管に限局してアミロイドの沈着する病態である。加齢に伴う脳血管の変化の一つとして正常老人でも軽度のものはみられるが,アルツハイマー病の病理所見の一つとしても重要である(Glenner, G. G.,et al.,1981)20)。特殊な例としては,肉芽腫性血管炎に合併する例の報告がある(岡本ら,1988)33)。また,脳出血症例の約30%がCAAに関連しているともいわれ,脳出血の原因病変として忘れてはならないものである(Vinter, V. H.,et al.,1987)37)。最近,筆者らにより我が国からもcystatin Cの沈着するCAAの報告があり(藤原,19879);藤原ら,1988a12),b13)),脳出血またCAAにおけるcyStatin Cの関与が,我が国でも注目されるようになった。
Cerebral amyloid angiopathy (CAA) is one of the important causes of cerebral hemorrhage (CH).
Hereditary cerebral hemorrhage with amyloidosis (HCHWA) in Iceland is dominantly inherited disease resulting fatal CH in the affected young individuals. This is characterized by deposition of amyloid fibrils composed of variant cystatin C (CC) and low concentration of CC in the cerebrospinal fluid. The CC cDNA from patient shows restriction fragment length polymorphism (RFLP) after digested with Alu I restriction enzyme. This Alu I RFLP reflects the mutation of the codon for replaced residue of CC and is useful for the diagnosis of Icelandic HCHWA.
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