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はじめに
アルツハイマー病の主要病理所見であるアルツハイマー神経原線維変化と老人斑については,その構成成分が最近蛋白化学レベルで同定され,その構成成分がどのような修飾をうけ,神経原線維変化や老人斑のアミロイドとして蓄積してきたのかが興味をもたれている。老人斑のアミロイドについては,その主要な構成成分としてβ蛋白が同定された。この4kDaのペプチドは従来知られていた蛋白とは異なるため,どのような蛋白に由来するものかという興味がもたれた。脳のcDNAラィブラリーから,このペプチドに対応するオリゴヌクレオチドを用いて,このペプチドをコードするクローンがとられた。このcDNAから想定される前駆蛋白(amyloid protein precursor;APP)は,アミノ酸695残基からなる膜蛋白と考えられる構造をもっていた。その後751アミノ酸残基,770アミノ酸残基に相当するcDNAが,グリオブラストーマなどの神経細胞以外の培養細胞のcDNAライブラリーから得られた。これらのcDNAには124および143アミノ酸残基に相当する挿入配列が含まれており,これがKunitz型のプロテアーゼインヒビターに相同性をもつことがわかった。さらに実際このcDNAをCOS-1細胞に導入すると,トリプシン活性を阻害することがわかった。このように遺伝子レベルで前駆蛋白の存在は明らかになったが,実際はこれらがどのような蛋白として発現しているのかについては不明であった。
本稿では,これらの前駆蛋白がどのような蛋白であるかという点に関する最近の知見について概説する。
We reviewed the recent studies about the β precursor protein (APP) in this paper.
Recently APP has been identified by the immunochemical and protein chemical methods. Antibodies against synthetic APP peptides labelled 110-130 kDa proteins on the immunoblot of membrane enriched fraction from human brain. Those proteins are enriched using Mono Q column. Takio reported that amino-terminal sequence of the blotted bands labelled by antipeptide antibodies was identical with the residues 18-29 of APP.
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