特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part4 がんの進行と地域医療介護・在宅ケア—局所から全身へ
骨転移を伴う進行がんの看護ケア—地域社会につなぐために求められる看護
市野 由佳子
1
,
岡本 美香
1
1大阪国際がんセンター看護部
pp.502-504
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200345
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地域につなぐがん看護の重要性
骨転移は、全てのがん腫において進行がん(StageⅣ)となる。骨転移そのものは直接的に予後に影響しないため、他の臓器への転移ほど優先度が高くない。しかし、骨転移の影響により骨折や疼痛、麻痺が生じると患者のADLは突然大きく低下し、QOLが著しく低下する。麻痺は、一旦生じると一生障害が残る。患者は、今まで当たり前にできていたことができなくなり、生活の再構築や骨転移の病態と向き合うことを余儀なくされる。そのため、患者の生活や生きる価値観を患者・家族とともに話し合うことが必要である。
近年は、がん治療が発達し生存期間が延長している。よって、がんを患いながらも地域社会のなかで、自分で動けて、生活ができる機能予後が重要となってくる。しかし、骨転移の予兆や対処方法などの予備知識をもつ医療者や患者がまだまだ少ないのが現状と言える。骨転移の患者が退院する際には、患者個々によって骨転移の部位や予測される機能予後が異なるため、注意しなければならない生活動作なども含めて、在宅医や訪問看護師、ケアマネジャーたちと話し合い、地域社会で生活できるように調整する必要がある。
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