特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part4 がんの進行と地域医療介護・在宅ケア—局所から全身へ
骨転移を伴う進行がんの身体リハビリテーション—ロコモティブシンドロームとフレイルのケア
鈴木 昌幸
1
1大阪国際がんセンターリハビリテーション科
pp.482-485
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200340
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がんの骨への転移は進行がん患者において頻度の高い合併症であり、運動器が直接影響を受けるため日常生活活動(activities of daily living;ADL)が障害される。また、骨転移による疼痛や病的骨折、脊髄麻痺を契機にがんが発見されることもあるものの、骨転移患者の多くは既に長期間にわたって全身治療を受けており、二次的に筋力、運動耐容能の低下を起こし、ADLの低下をきたしている。一般的に、転移部位は脊椎、骨盤、大腿骨と荷重骨に多いため、骨転移患者は起居動作や歩行動作に移動機能が障害される。このように運動器が障害されることで移動機能が低下した状態はロコモティブシンドローム1と提唱され、骨転移患者における障害像の中心となる。
また、がんの統計'17によれば、2013年にがんに罹患した人のうち70%が65歳以上の高齢者であり2、高齢者特有の問題を抱えているがん患者が増えてきている。高齢者は、加齢に伴う身体機能低下だけでなく、認知機能低下や意欲・判断力の低下などの精神回心理面の変化や、家に閉じこもりがちなどの社会交流の減少などの社会面において脆弱な状態=フレイル3に陥っている場合も少なくない。骨転移患者の障害像としては移動機能に着目したロコモティブシンドロームが中心となるが、精神面や社会面まで捉えたフレイルの概念も必要となる。
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