特集 恐れず恐れよ!骨転移診療 超実践ガイド
Part3 病期からみた骨転移ケアの超実践
Phaseからみた骨転移の診断・治療
佐藤 雄
1
1聖路加国際病院整形外科
pp.448-471
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200338
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Phaseを見抜き、早期介入を考えるためのポイント
がん治療は日進月歩で進歩しており、日々その治療成績は向上している。それに伴い、骨転移の治療成績も以前と比べて大きく変化している。これまでは骨転移は終末期としてのイメージが強く、緩和医療のみに傾倒しがちであったが、現在は長期的予後を左右するひとつの要素になっていると言っても過言ではない。四肢や脊椎の骨折、脊髄麻痺などの重篤な骨関連事象は、それ自体が患者の予後を悪化させる因子とも考えられているため、筆者は前稿で述べられた「痛み待ち」「麻痺出現待ち」を可能な限り避けるべく、骨転移診療に参加している。骨転移の分野はエビデンスを作ることが難しく、個々の患者毎にがんの進行や全身状態、治療状況、患者の考え方などさまざまな要素により治療方針が決定される。
本稿では、筆者が日常診療で経験した具体的症例を基に、その時々でどう考えて治療にあたったかを可能な限りわかりやすくまとめている。ただし、筆者の選択が唯一の正解ということは絶対になく、患者との向き合い方のなかで変化しうるものである。また、手術が施行可能かどうかなど、施設毎の技術的制約もあることは十分理解している。手術が唯一の選択ではないこともここで再度述べておきたい。
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