特集 マインドフルネスを医療現場に活かす
キーパーソン
ジョアン・ハリファックス
村川 治彦
1
1関西大学人間健康学部人間健康学科
pp.97-100
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200262
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経歴
ジョアン・ハリファックス老師は1942年、米国のニューハンプシャー州で生まれた。医療人類学者として、また仏教の師として40年以上にわたり、死にゆく人やその家族のケア、教育に従事し、死と死にゆく過程をテーマに多くの著作、論文を発表している。初期の著作に精神医学者スタニスラフ・グロフとの共著『The Human Encounter With Death』1、また邦訳としては『シャーマン—異界への旅人」2、『死にゆく人と共にあること—マインドフルネスによる終末期ケア』3などがある。また、エンド・オブ・ライフケアのパイオニアとしてハーバード大学医学校、ジョージタウン大学医学校、ジョンズ・ホプキンス大学医学校など、多くの大学で講演や教育を行なってきた。2011年には米国議会図書館に特別招聘研究員として招かれ、死にゆく人のためのケアで培われた知見を共感と慈悲の脳科学的研究に結びつけ、医療者向けのトレーニングプログラムとしてまとめた「G.R.A.C.E.」を開発した。
ハリファックス老師が死にゆく人に寄り添うきっかけとなったのは、幼い頃に経験した祖母の死であった。死ぬことを医学がまだ「病」として扱っていた1960年代初頭、「『死なせてちょうだい』『死ぬことを手伝ってちょうだい』と祖母が父に懇願しているのを耳にしたときのことを忘れることができない」として、ハリファックス老師は後に著書のなかでこう述べている。
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