Feature Topic 最期の最後のがん診療
現場でのスキルとメソッド
がん治療医(主治医)によるend-of-life discussionへの期待—誰が、いつ、どのようにすればよいか
前嶋 愛子
1
1国立がん研究センター中央病院泌尿器・後腹膜腫瘍科
pp.424-428
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200223
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「早期からの緩和ケア」が提唱されるなかで
早期からの緩和ケア、という言葉を耳にするようになって久しい。Temelらの研究1により、診断直後からの緩和ケアチームの導入は結果的に患者のQOL(quality of life)だけでなく生存期間にも寄与する可能性があることが示唆され、海外の診療ガイドラインにおいては患者の予後が半年から1年以内と見込まれる場合には、予後を見据えた事前計画(advance care planning;ACP)を開始することが推奨されるようになった。わが国では、2007年にがん対策基本法が制定され、それに基づくがん対策推進基本計画において緩和ケアは重点課題のひとつとされた。更に、緩和ケア=終末期に限定されたもの、という誤解がまだ根強いことを念頭に、2012年の第2期基本計画では緩和ケアは「診断のときから開始すべき」と明記された。
確かに、今日の医療現場で実践されている緩和ケアは、具体的な症状緩和だけでなく心理的・社会的支援、情報提供なども含んでおり、その意味で「診断のときから開始すべき」という指摘は正しい。だからこそ、緩和ケア専門医だけでなく全てのがん治療医(主治医)がその知識と技術を最低限身につける必要があり、そのための緩和ケア研修会が一定の成果を挙げていると思う。
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