Feature Topic 最期の最後のがん診療
現場でのスキルとメソッド
死亡直前期の徴候と患者とその家族の不安解消のための対応について
小杉 和博
1
1国立がん研究センター東病院緩和医療科
pp.410-416
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200221
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死亡はどのくらい予測が可能になってきたか?
「あとどのくらいでしょうか?」「今日は病院に泊まったほうがいいのでしょうか?」家族からこう聞かれて、頭を悩ませてきた読者の方は多いのではないだろうか。家族を呼ぶのがあまりにも早すぎると、付き添いによる疲労や仕事への影響が心配になり、少しでも長く生きてほしいと思っていた家族が「まだお迎えは来ないのか?」と思うようになってしまい、居た堪れない。かといって、呼ぶのが遅すぎて臨終の瞬間に立ち会えなかったと、家族に後悔が残ってしまうのはつらいものだ。
進行がんでは亡くなる1、2ヶ月前になると急激にADLが低下する患者が多いことが知られている1,2。そして、亡くなる1、2週前になると疼痛や呼吸困難よりも、倦怠感や食欲低下、眠気が急激に増悪することが報告されている(Fig.1)3。こうした月、週単位の変化については予測指標が複数開発され、ある程度の予測は可能となったが、より短い日の単位、時間単位についてはまだ十分な研究が進んでいない。現在、全国の緩和ケア病棟において3日以内の死亡を予測する指標を開発するための多施設前向き観察研究が実施されており、その結果に期待したいところではあるが、本稿では現在までにわかっている死亡直前期の徴候、その対応について紹介したい。
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