連載 ID consult—がん患者の感染症診療[4]
がん患者の肝炎ウイルス—B型肝炎ウイルスの再活性化を予防せよ!
森 信好
1,2
1JOIS(Japanese Oncological Infection Society)
2聖路加国際病院感染症科
pp.108-114
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200169
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はじめに
1997年に初めてのモノクローナル抗体であるリツキシマブが米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)より承認された。その後、血液腫瘍を中心とするがん治療は画期的な進歩を遂げることとなる1。モノクローナル抗体は、悪性細胞に発現する細胞表面受容体に結合することでその効果を発揮するため、従来の細胞毒性を有する化学療法に比して副作用は少なくその忍容性は高い。一方で、これらの治療薬に起因するB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)の再活性化が大きな問題となっている2〜4。HBV再活性化は、非常に重篤な転帰をたどるが、リスクを正しく理解し適切に対処することで多くの場合予防することが可能である。
本稿ではがん診療に携わる全ての医療者を対象に、がん患者におけるHBVの再活性化とその予防について述べる。
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