View-point がん診療 「原発不明がん」
原発不明がんについての臨床的概論
公平 誠
1
,
下井 辰徳
2
1公平病院腫瘍内科
2国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科
pp.534-547
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200127
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原発不明がんは増えているのか?
原発不明がんは生物学的な発生機序や疫学的なリスク因子が明らかになっておらず、予防や早期発見のための検診手法を確立するのが困難である。しかしながら、原発不明がんの認識や診断技術の向上は、これまで診断の限界で原発巣を特定できなかった原発不明がんを理論的には減少させる可能性がある。
2014年の米国の報告では、部位の特定されないがんとして約31,430人が診断されており、これは米国全体で診断される悪性腫瘍の2%に相当するとされるⅰ。これまでの報告では、原発不明がんは成人固形腫瘍の3〜5%を占めるⅱとされてきた。近年は、診断技術の進歩により、これまでに精密検査を行なっても原発巣が特定できなかったものも、一部において原発巣が判明するようになり、欧米を中心に原発不明がんの患者数は減少傾向にあるⅲ。しかしながら、医療へのアクセスが十分でない社会経済的な問題を抱えた患者層においては、原発不明がんと診断される傾向が多いことも指摘されている。
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